医師免許で取得が有利になる資格まとめ

資格オタあるいは病院から抜け出したい医師あるいは現実逃避中の医学士(であって医師ではない者)向け。

なるべく間違えないように努力はしているけれど間違っていても責任は取りません。

 

21/03/27 建築物環境衛生管理技術者について追記

21/09/03 特別管理産業廃棄物管理責任者について追記

 

 

突然だがあなたは自分が医師であることに誇りを持てているだろうか。

臨床医として生きていくことに自信はあるだろうか。

 

こんなことを言ったらいろんな人から怒られてしまう気しかしないけど、ぼくは結構つらい思いをして手にした気がするこの資格を、大学6年間+国試浪人1年間、大学入学のために費やした時間も含めたらプラスもう数年をかけて手に入れた医師免許とかいう一枚の賞状の意味を、もうわかっていない。

 

誰かの命や生活を支えるという仕事はとても尊いものであるとは思っている。

誰かを助けようとする人や未知なるものを解き明かし世界を変えようとしている人の在り方を否定するつもりも毛頭ない。

ただ自分がそのような在り方たり続けることはできないであろうことに気付いてしまった、というだけの話である。

 

医師免許を手にしてから約1年間医師として生きてきて、時には少し自信を持ってみたこともあったし、控えめに見ても少なからず医師として成長したとは思っている。

この資格を持っているのに見合った能力や知識をつけるために自分なりではあるけど修練に励んでみたつもりだったし、自分が間違えればそれは誰かの人生をひっくり返し得るのだという自覚も持ってきたつもりだった。

ただ、一生この仕事を続けるのに見合った人間ではないのではないかという思いが抜けたことは一度もなかった。

常に自分という人間の程度が到底この免許を持つに足らざる程度のものであるということを自覚させられ続けていた、そんな感じ。

 

幾度となく医師をやめることを考えた。

医師免許はよほどのことをしないと失効するものではないので、「職業:医師」を辞めるという選択を何度も心の中でしていた。

辞める勇気が自分にはないという現実がぼくを押しとどめているに過ぎなかった。

おそらく世の企業は、特段のスキルのない、医師免許と普通自動車運転免許証(AT限定)しか持たない26歳を採用しない。そんなことくらいはわかっているから。

医師として生きているおかげで今日も飯が食えるし、車に命かけてるわけでもないのにそれなりの車(自分にとっては最高の車だけど)に乗っていられるということもまた事実だったし。

 

 

前置きが長くなったけど、

せっかくとった医師免許をうまく活用して適当に生きる道

ってなんかないかなって思ったのが始まりなんだ。

 

一般的に医師免許を取ったうえで臨床(病院・診療所)以外で生きるとすれば、

研究職・医系技官・保健所・製薬・専属産業医

なんかがよく話題になるけど、今回はそこらへんはさておき。

 

「医師免許があることが取得に有利に働く資格」や「医師であることが条件(の1つ)になっている仕事」をまとめた。

ちまちま探して見つけ出しただけなので他にもなにかあったら教えてください。

これをやりたいとかじゃなくて、こういう可能性もあるよって提示にすぎないことは覚えておいてほしい。

ちなみに「医師」「医学士」に特化して書きます。実際には「歯科医師」「薬剤師」「看護師」とか他の資格が条件として含まれるものも多いし、「薬剤師」ならなれるけど「医師」はできないものなんかも中にはあるけどそこまで全部書いてたらキリがないので割愛する。

 

 

 食品衛生管理者食品衛生責任者

食品衛生法によりある種の食品を扱う施設で必ず配置しなければならないのが「食品衛生管理者」である。その資格要件の1つに「医師」が含まれている。

食品衛生責任者」は食品衛生法により営業許可施設ごとに配置が義務付けられている。実務経験や講習を受けることで取れる資格である。

ところが「食品衛生管理者」は実務経験や講習などを受けずに「食品衛生責任者」になることができるので、「医師」は「食品衛生責任者」になる資格を有することになっている。

つまりぼくはいつでもラーメン屋を開くことができる。料理できないけど。

 

 船舶に乗り組む衛生管理者(略称:船舶衛生管理者)

船舶の航行中に限り、船内での縫合やワクチン接種と言った部分的な医療行為を行うことのできる者のことで、船員法によりある程度以上の大きさの船では乗組員の中から選任しなければならないことになっている。

選任されるためには「衛生管理者適任証書」を有している必要があり、これは試験で得ることができる。「医師」もしくは「医学士」ならば無試験でこれを得られる。

 

 第一種衛生管理者

労働安全衛生法により、50人以上の労働者を有する事業場では「衛生管理者免許を有する者」の中から「衛生管理者」選任しなければならない。

実務経験のあるものが試験を受けて「衛生管理者免許」を有することができる。第一種と第二種があって、第一種ならどんな業種の事業場でも衛生管理者になれる。

「医師」ならば「衛生管理者免許」を有していなくても「衛生管理者」になることができるため、「医師」であっても「衛生管理者免許」を取ることはできない。だけど「医学士」であれば「第一種衛生管理者免許」を無試験で得ることができる。

国浪中に知りたかったなぁこの資格。

 

 労働衛生コンサルタント

産業医とも深くかかわる資格。というか医師の場合産業医やってる人しか取らないと思われる。

事業場における労働衛生に関する専門家である証。

筆記試験と口述試験で取る。

細かいことはさておきこれ取っとけば産業医講習を受けなくても「日本医師会認定産業医」になることができる。

「医師」ならば筆記試験の一部が免除になる。

 

 職業訓練指導員(臨床検査科)

職業訓練校の指導員の免許である。ハローワークとかに縁があるやつ。科目が結構分かれていて、そのうちの「臨床検査科」の先生をやれる。

職業能力開発推進法により、実務経験と職業訓練指導員試験の学科試験と実技試験に合格する、あるいは合計48時間の講習を受けることで「職業訓練指導員免許」を受けることができる。

「医師」ならば学科試験の一部と実技試験が免除され、実務経験も不要となるため学科試験の残りに合格しさえすれば「免許」をもらえる。

ちなみに職業訓練指導員になりたかったら「免許」をもらった上で各職業訓練校などの採用試験に受かる必要がある。

 

 特別支援学校自立教科教諭第一種免許状(理療)

教育職員免許法による。簡単に言えば特別支援学校の先生になることができる資格。特別支援学校特有の「自立教科」の中で理療という教科に限定されている教員免許である。文部科学大臣の指定する教員養成課程を卒業した上で「あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師」の3つの免許を有することで取れるが、「医師免許」があれば学校や習得単位の指定がなくなって申請だけで取得できる。

 

 東京都第一種公害防止管理者

都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)に基づく、特に公害発生の可能性が高いと考えられる工場において選任しなければならないとされる者。条例であることからもわかる通り、東京都でしか通用しない。「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(組織整備法)」に基づく「公害防止管理者」とは異なる。

講習を受講することで取れるが、その講習の受講資格の一つに「医師免許を有する者」が含まれている。

都内の工場に勤めたかったら取ってもいいかもしれない。

 

 作業環境測定士

作業環境測定法に基づいて職場環境を調べる人の資格。産業医と密接にかかわるやつ。通常は国家試験を受けて講習を受けてようやく測定士の資格を取得できるが、「医師」ならば国家試験が免除になるので講習を受講するだけでなれる。

登録講習は結構お金かかるので道楽で取る資格ではないです。たぶん。

 

 食品衛生監視員

食品衛生法に基づく食の安全チェックの専門家。検疫所や保健所などが主なフィールドになりそう。

食品衛生監視員になれる条件の中に「医師」が含まれる。資格証とかは特にない。

ちなみに公務員なので実際になるには公務員試験の合格も必要。

 

 建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)

建築物衛生法に基づき一定以上の規模のビルで選任されなければならない、建築物の環境衛生の最高責任者。

資格取得には実務経験のある人が国家試験を受けるルートと講習を受けるルートがある。医師は講習を受ける資格があり、実務経験も不要という事になっている。

ちなみに医学士でも実務経験が1年あれば講習受講資格を得られる。

この講習も10万以上する上に修了試験もなかなか難しいらしいので本気じゃなきゃちょっと取りには行けないかも。

 

 特別管理産業廃棄物管理責任者(感染性産業廃棄物を生ずる事業場)

廃棄物処理に基づき特別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者は当該事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者が必置となっている。

環境省令で定める資格があればやれるが、その資格の1つに「医師」が存在する。「医学士」の場合は日本産業廃棄物処理振興センターが実施する「特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会」を修了していればいいっぽい。

講習会を修了していれば修了証が手に入るけど医師ならば受けなくとも任命されうるので特に資格証はいらない。

 

 

以下の2つは病院勤務が結局主たる業務場所になってしまってやや本末転倒感もあるけれど

 臨床検査技師

さん。ぼくはいつも大変お世話になっています。

臨床検査技師等に関する法律に則り行われる臨床検査技師国家試験の受験資格を「医師」は有している。医師であれば学校や取得単位の規定はない。

ちなみに「医師」にとって「臨床検査技師」になっても業務的にできることは増えない。

臨床検査技師を名乗っても法的に問題がなくなるくらいしかメリットはないかもしれないが、資格はメリットだけで取るものじゃない(とぼくは思っている)

 

 放射線取扱主任者

放射線障害防止法に基づく国家資格。試験を受け講習を受講し「放射線取扱主任者免状」を取得できる。受験資格は特にない。

「医師」ならば診療目的に限り「免状」がなくても「主任者」になれる。逆に言えば「医師」であっても「免状」はもらえないので免状が欲しければちゃんと試験を受けようねって話でもある。

 

 

これらの資格を取ることでさらに取りやすくなる資格なんかもあるが、そこまで行くときりがなくなるのでひとまずやめておく。

 

法律を強調して書いたけど、これはただのぼくの趣味だ。法律は自分の生活に本来密接に関わっているはずだし、意識しないで生きるのはあまり得策ではないと思っている。

もしかしたら認定産業医取ろうとしてるせいで法律への拘りが増しているだけかもだけど。

 

医師免許、せっかく取ったし有効活用して生きていきたい。

臨床現場の医師として生きるだけが医師の道ではない、そう思っている。