今日の夢

特に何をするでもなく、朝になってから寝た。

その時見た夢のおはなし。

 

 

戦いは最終局面を迎えていた。

周りには30人程しか残っていない。

ここはなんとか奪取した窪地にある敵の補給基地。

ほんの一時とはいえ休息を取れる。

それだけで俺達は嬉しかった。

 

自分の装備を外し、基地に置いてある装備を身に付け、敵に擬装する。

でもそんなものは気休めに過ぎないこともわかっていた。

既に包囲されたこの窪地、建物を出たら袋叩きに会うのは必至だろう。

 

戦友たちと最後の会話をする。

楽しかった思い出のこと、おいしいお酒の話、好きだった人のこと。

怖くて仕方ない気持ちを隠すようにみんなで盛り上がった。

 

誰かがおもむろに立ち上がる。

「そろそろ行こう」

戦友たちの顔には晴々とした表情さえも浮かんでいた。

先頭の奴が振り返って言った。

「またあとで」

 

 

建物を出る。

この基地の周りは木が生い茂っているから直ぐに見つかることはない。

俺達は最深部に向かう。

小さな木の根元にわずかな思い出の品を置く。

 

突撃を開始する。

無数の銃口がこちらを向いている。

前の方の連中は数秒で死んだ。

俺もすぐに後を追うことになるだろう。

隠していた自分たち国の装備で最後の反撃を試みる。

 

その刹那、銃撃がやんだ。

10人程に減った仲間と顔を見合わせる。

助かるのか?

しかしそんな淡い期待は一瞬にして崩れ去った。

敵の銃口が一斉に火を噴くのが見えた。

 

 

 

 

もう痛みはなかった。

周りにはたくさんの戦友や家族がいる。

ずいぶん前に死んだやつもいた。

みんな生き生きとしている。

 

既に出来上がってるやつもいる。

俺も酒を手に取る。

弱いからもちろんほろよいだ。

端の方で優しく微笑んでこっちを見ている人がいる。

俺はそいつの元に駆け寄った。

 

 

 

 

別にそんなに酒好きじゃないし、こっち見てた人も記憶になかった。

戦友の中の何人かは男女ともに見覚えあったかな。

死ぬってわかってる出撃、つらかった。

 

久しぶりに長い夢を見た気がする。