第1話 浪人生、始めます。

3月18日、14時。厚生労働省の合格発表会場。

自己採点の結果の通り、ぼくの番号はなかった。

受験者の9割が受かる。つまり合格発表の会場で落ち込んでるやつなんかほとんどいない。

霞ヶ関駅の近くで内定をもらっていた病院に電話をかける。

少し涙声になってしまったかもしれないが、涙はこらえきった。

今まで連絡できなかったことも含めて、しっかりと謝罪して。

 

わざわざ会場まで見に行ったのはどうせ2回あるなら1回くらい見に行ってもいいのでは?みたいな気持ちだったのだけどさ。

 

 

 

前回の記事以降、少しだけフリーターの税金や社会保険や就職事情について調べた後、我に返って国試浪人生の生き方であるところの宅浪か予備校通いかを色々比較したり、発表前なのに予備校凸して話を聞きに行ったりしていた。

友人たちも色々なアドバイスをくれたし、この数日ほど人の温かさを感じた日々はなかったかもしれないくらいだった。

そして最大の出資者であるところの親ともしっかり話し合って、自分の性格とか勉強スタイルとかどれくらい足りなかったとかそういうことも全部考えて、予備校通いを始めることにした。

お金は両親に借りた。国立丸6年分に近い金額。

重い。でもこの金額を絶対無駄にはしないという決意も同時にできた。

 

 

早速1日目、少しだけ自習室で映像の講座を見た。

基礎的な内容ではあったけど、まずは1ヶ月以上休めた頭のリハビリ。

ついでに穴をしっかりと埋めて。

 

次の国試までの10ヶ月ちょいは長いようで短いのだろうけれど。

一歩ずつ、自分に足りなかったものを固めていこうと思う。

来年は必ず合格する。