第7話 あっという間に。
7月になった。
予備校に入ってから3ヶ月。114回国試まではあと7ヶ月。
あっという間だった。
去年の自分からは想像もできないくらい勉強してきた。
数え切れない程の講義を受けた。
毎日無数の問題を解き、解説を聞いている。
それでもなかなか自分が前進できていない、そう感じる。
去年の秋頃同級生たちが言っていた「どれだけやっても覚えられた気がしなくて不安」って言葉をやっと実感してきた。
朝から晩まで予備校に引きこもってずっと机に向かっていても、どんどん忘れていきそうで。
数多の科目数をこなさなきゃいけないけど、全部を同時進行なんて不可能だから、4月の講義の内容なんてもう頭に残ってないかもしれない。
そんな不安が常にある。
単元まとめテストみたいなのでも基本的に中の下くらいの順位だし、今のところチューター面談で悪くはないからこの調子でがんばろう、と言われてはいるけれど、直前の詰め込みでギリなんとかしただけの記憶がそんなに持たないことはさすがにぼくもわかっていて。
なんとかテストの復習だけはためないようにしているけれど、その復習ノートをその後一度も開いてないあたりお察しである。
カリキュラムについていこうと思ったら、自分がいま復習をしたいと考えている分野をやる余裕は少なくともぼくにはぜんぜんなくて、もしかしたらこれが予備校の欠点なのかも、と思ったり。
予備校の欠点と言えば、もう1つある。
周囲の人間関係、というやつ。
予備校にいても周囲と深く関わりを持たないっていう生き方も選択できたんだから、自業自得と言われればそれまでだけれども。
詳細をここで語る気は毛頭ないけれど、居心地の圧倒的な良さはとうの昔に消え去っていて、ぼくはなんとなくフワフワしているしかない。
日々の小さな会話達にさえその違和感はじわじわと浸食してきているし、休憩時間がリフレッシュにならないとかいう悲しい事態。
ぼくは楽しく生きたかった。それだけなのに、ね。
小さなイラッの積み重ね、そろそろ根本からなんとかしないと心に悪い。
そんなことで悩んでるからダメなんだってよくわかっているつもりではあるんだけれど。
でももちろん予備校での会話、twitterでの114回組とやり取り、どっちも楽しいことはたくさんあって、それはみんなみんなに感謝だよ。
来週にはぼくのいる予備校では初めての模試があって、ちょっとドキドキ。
予防線とかのつもりはさらさらないけど、優秀な6年生とか元々ギリギリだった人に比べてだいぶ目劣りするぼくの学力ではそんなにいい成果は望めないのはわかっていて。
もしかしたら努力の方向性が間違っているかもしれないから、それを訂正してもらえるチャンスと思ってとりあえず今の自分を精いっぱい出してみよう、とは思う。