エピローグ1 国浪@T予備校でよかったこと、悪かったこと。
去年の発表翌日、ぼくは予備校への入学手続きを終えて、勉強するための準備を自宅で整えていた。
あれから1年、ぼくはもう受験生ではなくなった。
自分の要領の悪さから考えていつの日かやってくる専門医とかその他の試験でもやっぱり手こずることはあるかもしれないけれど、医師国家試験の受験勉強はもう二度とすることはないだろう。
自己採点の段階で概ね未来は見えていたから、過去の受験のようなドキドキもあまりなかったけれど、もち万が一マークミスとか名前書き忘れによる失敗があった時に、わずかな貯金ではどうしようもないくらいにこの1ヶ月使い込んだクレカの請求が怖くはあった。
twitterのタイムラインは歓喜と115回勢に向けた応援&アドバイスが溢れている。
去年のぼくも検索して見つけたブログやツイートをだいぶ参考にさせてもらったから、その思いも込めて便乗したい。
以下の体験談はn=1、誰でもそれをそっくりそのままコピーすれば次の国試に受かるというものではない。
ただ自分がやってきたこと、思ったことを文章にしているだけ。
それでも誰かの参考に少しでもなったら、と願う。
医師国家試験は合格率の高い試験だ。
だから結局どこで勉強しようがどこの予備校に通おうがどの教材を使おうが、
やり方さえ間違えず、気持ちを最後まで保ち続けることができればちゃんと受かるはず。
ぼくにとってのメリットも誰かにとってはデメリットだったりするし、そこらへんはあくまで主観の問題。悪しからず。
まずは予備校通学の話。早く決めなきゃいけないからね。
どんな勉強したかはまた次回に。
ぼくは去年の発表の翌日、予備校に通うことを決めた。
東京に通学しうる実家を生活拠点として、お金は両親から借りた。
そして、予備校大手2社のうち、マイナーな方(T社としよう)を選んだ。
理由は、両方比べてT社の方がぼくには雰囲気があっていたから。
学生時代の映像講座もそこだったのもあるけれど、今後一番接していくであろうチューターさんたちがとても親身に入校前のぼくの相談に乗ってくれたのが大きかった。
その時に入校する学生の雰囲気も聞いて、あまり派手な学生生活を送ってこなかったぼくには合っているような気もした。
予備校と宅浪で迷ったぼくにとって結果としてメリットだったなと感じたところは、専属のチューターさんが毎月面談をしてくれて、ぼくの希望と模試や校内テストの成績を見つつ、ぼく専用のスケジュールを立ててくれたことだ。
毎月進捗確認をされるから誤魔化しがきかないし、もし進捗が悪かったら原因と改善策を一緒に考えてもらえた。
ぼくは最後まで全部の講義に出たけれど、人によってはマッチングを優先したり、講義を一部切って別の勉強に充てたりもしていた。学生時代の他社の教材をメインにしていた人もいた。
これも全部チューターさんは認識していて、とてもフレキシブルに対応してもらえる。
そういえばぼくも、主に登下校中にやっていたオンラインの問題演習はT社のではなくQ社のでやりますって早々に宣言してた。もちろんそっちも進捗チェックしてくれた。
ぼくはあまり友人たちとするタイプの勉強会が得意ではなくて、たまにわからない問題や病態を相談しあったり、ごはんを食べながら少し問題を出し合ったりする他は最後まで1人で勉強していた。
だから進捗や成果を他人と比べにくくて、その点の不安もチューターさんのおかげで解消できた。
それから、怒濤のテストで強制的にアウトプットを強いられるのも自分のわかっていないところの確認、試験で問われるところのチェックには有用だった。
単元ごとに講義開講前の〇✖100問テスト、その単元の講義終了2週間後の復習テスト、後期に入ってからも難易度高め問題で構成されたテスト、それからもちろん4回の模試。他にもこまごまと小テスト。
全ての成績が概ね当日中には集計されて、校内順位と平均点が分かってしまう。
この成績に一喜一憂することに本質的な意義はないけれど、メリハリをつけると同時にしっかり復習すれば安心感も出るし、よかった。
それから、予備校生講義には映像講座では配信されない通学生専用講義が多くある。
自分にとってはここで学んだことがとても役に立ったと感じた。
そしてきっとこれからも役に立っていきそう、そんな予感さえする。
結果的にほとんどの単元について、メイン講座以外にもう一周臨床医の講義がある感じになった。
T社のメインであるm講師の講義ではわかりにくいところはこの講座で理解した。
先生にもよるけれど通学生専用講座の方が納得しやすかったり、丁寧だったり、教え方がうまかったり、そして最新の知見が含まれていたりというのが主に良かったところ。
もちろん友人関係もできた。
授業がない日も自習に行っていたから、この1年会わなかった日が両手くらいに収まりそうな人が何人もいる。
勉強の息抜きに下らない話をして、わからないところを相談し合って、不安をお互い口に出して、というのを毎日顔を見ながらできるのはぼくにはありがたいことだった。
自分の中で他と違ってよかったな、と思っているところはこれくらい。
もちろん悪いところもあった。
授業がつまらないこともあった。あまり国試に有用でないと感じることもあった。
切っちゃえばいいし、もちろんそうしている人もいた。
でももしそれが多くなればお金がもったいないような気もする。
人間関係も問題が生じた。
顔を毎日突き合わせてる分不満も溜まるし仕方ないこととはいえ、それで悩んだりする時間はもったいないと思った。
そして、T社は少数派だった。
ネット上ではより一層。
アンチもたくさんいる。合わなくって講座やめた人の不満もよく見る。
ぼくから見ればいいところも誰かにとっては不満なところだし。
現状いろんな会社がいろんな講座を出しているからよりよく見えるものもたくさんあるし。
模試をやれば解説が丁寧じゃないとか問題が悪いとか言われるし。
だけどほぼT社だけを信じてぼくでも受かったし、T社では国試は無理、なんてことはないと思う。
T社も旧態依然としているように見えるかもしれないけれど、日々進歩しているし講座も変わってきている。
完全にぼくの主観的で独善的な分析なのだけれど、T社の解説が不親切、と思う人はたぶん解説というものに多くを求めすぎているのではないかな、と思う。
自分で調べて考えるからわかること、というのももちろんあるわけで。
わからないところは友達や先生に相談するなりしよう。
それでもわからないところはたぶん、国試にはあんまりいらないところだ。
知的好奇心を満たし尽くしているとたぶん国試には間に合わなくなる。
114回本番を受けたとき、問題がどことなくT社模試に近いフィーリングだった。
「診断がはっきりとわかるわけではないけどたぶんこれだろう・・・これでいいのかな?しょうがない次行かなきゃ」
みたいなのが続く感じ。
もしかしたら厚生労働省は診断当てよりも臨床的対応に焦点を当てた出題をしたいのかなって感じもあるし、そう考えるとT社の模試の問題も悪くはないんじゃないかな?と、国試をたった2回受けただけのぼくは分析してみたりしている。
念のため言うけれどぼくはT社から1銭も受け取ってない。
ただ、113回から114回のぼくの人生をT社に任せてよかった、とは思っている。
そんな程度の思いでT社ヨイショした。
115回勢の皆様に幸いあらんことを。
次回自分が何をしたかを列挙する。
それでぼくの医師国試に関するお話はおしまいになる。と思う。